2009年秋(8)

今回は趣向を変えて上信電鉄の駅舎をメインにお送りします。例によってグンマ嫌のことですが,
今回は緩めにお送り…する予定です。それでは『落陽の上信電鉄』をどうぞ。

素晴らしい駅舎が多いと評判の上信電鉄の各駅を巡ってみることにした。
高崎で長野電鉄よりも割高なフリー乗車券(2260円)を買い,地方私鉄としては珍しい自社発注車
6000系に乗った。これは今時の地方私鉄では一般的なことだが,客は実に少ない。
只,録りテツの視点ではロケランという訳だから実に好都合である。

最初の訪問駅は上州七日市である。
片側1面1線のホームと宿泊所付きの小ぢんまりとした駅舎があり,中々好印象だ。
驚いたのは委託営業が行われていたこと。運転上必要という訳でもないようだ。理由を探ろうと
駅周辺をある程度見て回ると,一定の利用が高等学校があった。高校生目当てならば朝夕だけ
配置しておけば良い気がするのだが…。

 
次にやって来たのは150系。西武の名車101系はご覧の通りのマンナンライフの広告車に成り変わっている。
それにしても宣伝効果のなさそうな電車に広告を出すとは実に不思議だ。お友達意識なのだろうか。
ちなみに「幼児や高齢者には与えないでください」という文句は何処にもなかった。

西吉井にて下車。本数が少ない地方私鉄では上下列車を組み合わせて行ったり来たりしながら,
駅訪問を進めて行くのがベターだ。またこれは割高なフリー乗車券のモトを取るのに適している。

駅は実に簡素な造りである。待合室の類はなく,からっ風なんて言われるような冬の時期に乗客は
きっと寒い思いをするのだろう。使用停止になっている簡易便所がせめてもの救いww

地響きを立てて到着したのは宇宙戦艦ヤマ…じゃない銀河鉄道999号であった。
「地方私鉄に著作権料を払うだけの体力があるのだろうか」と疑問に思って調べてみたら,
この作品の作者がデキの保存運動に賛同し…(中略)…著作権料は要らないと言ったそうな。
車内は帰宅と思われる高校生で混み合っていた…いや,高校生の乗客しか乗っていなかった。

東富岡は上信電鉄で最も新しい駅である。それ故,これまでの同線の駅とは趣を大きく異にしている。
ステンドグラスに風見鶏,上部が弧を描いた窓の形と実に西洋じみている。
また同線の駅としては珍しく駅前ロータリが整備されている。但し,タクシーもバスも見られなかった。


再びやって来た6000系に乗車し馬庭を目指す。こちらは座席の50%程度が埋まる程度の混み具合。
やはり高校生が多いように思える。高校生がいてやっと持っているような印象さえ受ける。
馬庭に着いた頃には日が落ち始めていた。レールが黄金色に光り,踏切や柿の実のシルエットが
くっきりと浮かび上がる。この路線の将来は影となるか光となるか。

さて馬庭の駅舎はと言えば,これが万人受けしそうなスタイルである。改札内にちょっとした庭が
あるのも洒落ている。只,若干離れた所にあるコンクリ造りの便所がどうも不気味で近寄り難い。
ここでも業務委託があった。と言うより寧ろ上信電鉄は無人駅が少ないのだ。

2009年秋(9)

撮影記